編集後記 2022年2月号

2022年2月号

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)

例年に増して寒さが厳しい今年の冬。よりによって冬季休暇に入る前日に、我が家の給湯器が壊れました。メーカーに問い合わせたところ、新品の供給が追い付かずに中古製品を回さざると得ないとのこと。原因は半導体です。給湯器が寒さや古さで大量に故障しているにも関わらず半導体が不足しているために、メーカー側がその対応に追われていることを知りました。期せずして届いた木村先生の原稿で、その背景となる国際的な政策リスクやそれに伴う企業の動向がまさに影響しているということを、身をもって感じた次第です。
さて。今号特集「世界から見た日本」の巻頭言は、駐仏日本国大使 伊原様からのご寄稿です。在仏日本大使館の方によるシリーズ(「ウィズ/ポストコロナのフランス経済の動向」:2020年11月号~2021年12月号)に続き、今号の巻頭言として伊原大使に最後を飾っていただきました。長きに亘るご協力に心より御礼申し上げます。
今号では、特集寄稿としてDBJ グループからの原稿を3本掲載しています。弊財団専務理事の酒巻は、DBJ Europe の社長及び会長として英国に4年間赴任していた際に直面したあらゆる出来事から、それらを通じて得られた日英比較について独自の視点で論じています。DBJ Europe からは、オブザーバーとして参加したCOP26について報告いただきました。COP26を背景にした英国政府の方針が政策等を通じて市民にどのように浸透しているのか、といった現地に住んでこその印象は、新鮮で貴重な内容です。加えてDBJ 上海からは、日本企業の対中事業戦略についてまとめていただきました。DBJ 上海の豊富なネットワークを活用して中国に拠点を置く日本企業に対して行ったヒアリング情報は、価値ある内容だと思います。
さらに、今年度下村プロジェクトのシリーズ「ポストコロナにおけるグローバルリスク」第2回として政策リスクと国際貿易にかかる論点を考察いただいた慶応義塾大学 木村先生をはじめ、弊誌コラム「明日を読む」ご執筆者のお一人であるMM 総研 関口様からも、先日上梓した書籍のご紹介を通じて、現在のGAFA と日本との関係性を背景にした日本の情報通信産業のあるべき姿についてご提言をいただきました。
今号は、米、中、ヨーロッパそして東アジア各国から見た日本を、各分野の最先端の立ち位置から考察する内容であり、今までになく国際色豊かな特集号として構成されています。ぜひお読みいただければ幸いです。
これからも、賛助会員の皆様へのサービス向上を目指して誌面を充実させていきますので、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

著者プロフィール

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)