編集後記 2024年4-5月号

2024年4-5月号

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)

昨年1年間で生まれた子どもの数が前年より約5%減少し(約76.8万人)、統計開始以来、過去最少を更新している、というニュースが先月報道されました。さらに結婚件数の減少により、子どもの数は今後も減少が続く可能性が高いということです。親の世代よりも圧倒的に少なくなる子の世代にとって、これからどんな社会が待ち受けているのでしょうか……
さて。今号の特集は「人的資本経営」です。人的資本に関しては昨年度の同月号でも特集化しましたが、今回は「経営」の二文字が入っています。実は、人的資本に関するテーマで特集化することは決まっていたものの、正式な特集名は未定のまま編集を進めていましたが、原稿がすべて出揃ったとき、人的資本に「経営」を加えて間違いないことを確信しました。そもそも人的資本経営をどう捉えるべきか(守島氏)。その推進を実現するためのアプローチとして「システム思考」を活用することがいかに重要か(依田氏)。さらに、組織運営の要となる「マネージャー」は、不確実性が高い環境下においてどうあるべきか(高田氏)。また、働き方改革で推進されている「副業」が組織にどのような効果をもたらすのか(川上氏)。世界的に遅れている日本人の「英語教育」に企業はどう対応していくべきか(三木氏)、など人的資本経営には欠かせない要素をそれぞれ深く掘り下げています。
企業の皆さまには、人的資本経営に関し具体的な一歩を踏み出すためのきっかけや、今実施しているそれらの取組みを改めて考えるためのヒントになり得ると思います。ぜひ全体を通してお読みいただければ幸いです。

著者プロフィール

饗場 聖子 (あいば せいこ)

一般財団法人日本経済研究所(「日経研月報」副編集長)