思索の窓

宮崎の魅力

2025年12-2026年1月号

松戸 元気 (まつど げんき)

DBJデジタルソリューションズ株式会社 常務執行役員 営業推進部長

私は、2024年夏から1年間、日経研月報の編集長として本誌の編集に携わってきました。本誌では、日本政策投資銀行の支店・事務所の職員が執筆する「地域の現場から」というコラムがあり、編集側としても一読者としても大変楽しみで、機会があれば執筆したいと考えておりました。現在は東京勤務ですが、過去の経験を振り返り、本稿では2021年夏から2年間過ごした宮崎について紹介します。
宮崎と言えば、宮崎牛、地鶏といった畜産物、マンゴーや日向夏といった果物がまず思い浮かびますが、私は魚も美味しいという点を強調したいと思います。太平洋に面した宮崎は、カツオの一本釣り漁業日本一である他、イセエビも獲れますし、キャビアも人気があります。海鮮丼や刺身なら、市内からも近い漁港併設のレストランがお勧めですし、鮨も新鮮で脂が乗っていて絶品です。また、宮崎の〆と言えば、宮崎うどんです。柔らかい麺が特徴であり、いりこだしや柚子風味の汁でいただきます。お酒は、焼酎が有名ですが、地ビールに加え、クラフトジンやワインも知られるようになってきました。特に県中部から北部にある都農ワインや五ヶ瀬ワインが人気を博しており、宮崎を訪れた際には、宮崎空港で焼酎に加え、ワインを購入して帰る人も多くなってきました。
また、温暖な気候の中、ヤシの木、県の木フェニックス、ソテツなどの植生、雄大な太平洋を臨みながら走るドライブは、南国情緒が感じられ、お勧めの観光ルートです。その中で、太平洋に浮かぶ青島は、新婚旅行ブームで一躍有名になった観光地であり、亜熱帯の植生がみられる青島神社は読売ジャイアンツがキャンプ時にお参りすることでも有名ですが、青島から少し南に下った堀切峠からの見晴らしはまさに絶景であり、時間帯によっても表情が変わり何回行っても飽きない場所です。
そして、宮崎といえばやはりスポーツです。読売巨人軍をはじめとしたプロ野球に加え、侍ジャパン、Jリーグ、ラグビー日本代表等の多くのチームが各地でキャンプを行っています。オリックス・バファローズのキャンプ地で現在はドジャースに所属する山本選手の遠投による調整を間近で見学したり、読売ジャイアンツのキャンプ地で練習場の間を移動する岡本選手にサインをいただいたりと、試合にはない魅力があります。午前中にプロ野球のキャンプを見て、午後にJリーグチームの紅白戦や練習試合を見学することも可能です。他には、良質な波が得られるためサーフィンも盛んであり、地元中学校にサーフィン部がある他、サーフィン移住もみられ、サーファーが多く集う青島の地価が上昇していると報道されています。また、ゴルフも盛んです。宮崎市中心部や宮崎空港から車で30~45分圏内に多数のゴルフ場があり利便性が高く、羽田空港の6時台後半の便に搭乗すれば8時半頃には宮崎空港に到着してゴルフ場に行くことができるため、1泊2日で2ラウンドは可能です。また、温暖な気候のため、特に冬場はゴルフ目的で韓国などからのインバウンド客も増えています。
このようにスポーツが盛んで自ら体験したりキャンプを見学したりしましたが、J3のテゲバジャーロ宮崎の試合にもよく足を運びました。ホームスタジアムは国産ライチで知られる新富町のいちご宮崎新富サッカー場です。同スタジアムは、ピッチと観客の距離が近く、迫力あるプレーを間近で見ることができます。当時はJ3ライセンス維持要件の一つである照明施設が未設置でしたが、2023年に新設され、2025年シーズンは2025年10月時点で昇格プレーオフ圏内に入る等、J2もいよいよ視野に入るところまで来ました。九州は各県にJリーグチームがあり、九州対決も盛り上がりを見せます。地域のチームは選手と地元との距離が近いことも魅力であり、地域との共生を図る地元チームの存在を体感することができました。
九州と聞けば、多くの人が福岡・熊本などの都市、長崎や鹿児島などの歴史遺産を思い浮かべる方が多いと思いますが、宮崎も負けず劣らず魅力的です。ぜひ足を運んでみてください。私も宮崎の「関係人口」として、度々訪れて宮崎を再発見し、また、魅力を周囲に伝え続けたいと思います。

著者プロフィール

松戸 元気 (まつど げんき)

DBJデジタルソリューションズ株式会社 常務執行役員 営業推進部長